トイレの排水方式 下水道・浄化槽・汲み取り式の違い

トイレの排水方式には、下水道、浄化槽、汲み取り式トイレの3つの主要な方式があります。日常的に何気なく使用しているトイレの汚水がどこに行くのか、その仕組みに疑問を持ったことがある方もいるでしょう。

排水方式の違いは、簡単に言えば、排水を浄化する場所が公共の浄水場か、個人の住宅に設置した浄化槽か、そしてその浄化方法の違いにあります。排水システムは、地域の人口密度や下水道の整備状況、さらに法律の制定や改正といったさまざまな環境要因の影響を受けながら構築されてきました。

浄化槽には、トイレの排水のみを浄化するタイプと、トイレと生活排水の両方を浄化するタイプがあります。平成13年には、生活排水の放流による水質悪化が問題視され、浄化槽法が改正されましたが、この変化に対して個人の対応が追いついていないのが現状です。本記事では、それぞれの排水システムについて詳しく解説し、今後の排水方式の行方にも触れていきたいと思います。

下水道による排水方法

下水道は、最も多くの人が利用している排水方法です。浄化槽や汲み取り式と異なる点は、公共の下水道管を使用していることです。各家庭で発生した使用済みの水は下水道管を通って市や県が管轄する下水処理場に運ばれます。そこで一括して浄化処理され、川や海に流せる清潔な水へ変換されています。

そのため、下水道を利用している場合、各住宅に浄化槽は設置せずに済みますが、その代わり下水道料金を支払う必要があります。令和3年時点で、川越市における下水道を利用している人口の割合は85.2%に達しています。

下水道を利用していない理由としては、単純に下水道が通っていない地域に居住している人々や、以前から浄化槽を使用しているケースが考えられます。総務省の家計調査報告書によれば、1人暮らし世帯の上下水道代の平均は月額2,172円となっています。世帯人数や地域によって異なるものの、一般的な傾向は、2人家族の場合は月額4,000円前後、3人家族の場合は月額5,000円前後ほどです。2ヶ月に1回の集金で考えると大きな出費です。

浄化槽による排水方法と種類

浄化槽は、下水管で汚物を浄化処理場まで運ぶことが出来ない地域で採用される排水方式です。

浄化槽を使用する場合、各住宅に設置された浄化槽で汚水を含む生活排水が浄化されます。そして下水管がある地域では一般排水として排水されます。下水管が埋設されていない地域ではバキュームカーによる吸引により汚水等が取り除かれます。

また、下水管がある地域でも浮遊物や固形物は定期的に除去する必要があります。浄化槽の点検や清掃に関しては、法律で定められた業者が行うこととなっていますので管理者は依頼を行いメンテナンスを行います。

現在使用されている浄化槽には、単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の2種類がありますが、単独処理浄化槽は新設が原則として禁止されています。それでは、これらの浄化槽について詳しく説明していきます。

単独処理浄化槽

浄化槽の違い(浄化槽行政に関する調査結果より)
(上の画像)浄化槽行政に関する調査結果(概要)より
https://www.soumu.go.jp/main_content/000927431.pdf

単独処理浄化槽は、トイレからの排水のみを浄化して排水する機能を持つ浄化槽です。日常生活では、トイレ以外にもお風呂やキッチン、洗面所などで使用される水が発生しますが、単独処理浄化槽ではこれらの生活排水を浄化する仕組みがありません。

そのため、これらの水は浄化されることなく、そのまま川や海へと排水されてしまいます。今では下水道が普及しているため驚かれるかもしれませんが、以前はこのような排水が一般的でした。しかし、環境問題や水質汚染が深刻に取り上げられるようになり、排水方式に関する法律が制定・改正されました。

その結果、平成13年以降、単独処理浄化槽の新設は原則として禁止されています。浄化槽の耐久年数はおおよそ30年とされており、現在使用されている多くの単独処理浄化槽は老朽化の問題に直面していると考えられています。


合併処理浄化槽

浄化槽について(環境省浄化槽サイトのパンプレットより)
環境省浄化槽サイトのパンプレットより
Screenhttps://www.env.go.jp/recycle/jokaso/publicity/pamph/shot

合併処理浄化槽は、単独処理浄化槽とは異なり、トイレからの汚水だけでなく、お風呂やキッチン、洗面所などで発生する生活排水を含めたすべての水を浄化する機能を備えています。

住宅用として設計されているため、下水処理場の浄化作業と比べて機能が劣るのではないかと心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、合併処理浄化槽の浄化システムは高性能であり、下水処理場と比較しても機能面で劣ってはいません。ただし、その性能を維持するためには、適切なメンテナンスが不可欠です。法で義務付けられた保守点検や、清掃を怠ると、浄化機能が低下する可能性がありますので、管理者である世帯主は十分に注意が必要です。

下水の窒素によるアオコ発生時の写真

また、合併処理浄化槽には、BOD脱去型と高度処理型の2種類があります。この2つの違いは、まず浄化精度にあります。名前の通り、高度処理型はより高性能で、BOD脱去型では処理しきれない窒素も浄化することができます。窒素は、現在よく問題視されているアオコの発生に大きく影響を与えているため、高度処理型の方が環境に優しい選択肢と言えるでしょう。

汲み取り式による排水方法

汲み取り式トイレで排水された汚水は、下水道や浄化槽とは異なり、どこかへ流れることはありません。トイレの下や近くには、排泄物や汚水を貯める専用の貯蔵タンクが設置されており、定期的に汲み取り業者がバキュームカーで汲み取ります。その後、汚水は処理場へと運ばれます。そのため、管理者は定期的なメンテナンスを行う必要があります。

汲み取り式トイレは、現在ではあまり使われなくなっていますが、下水道が整備されていない地域では、今も使用されているものがあります。

汲み取りトイレを使用している住宅では、一般的にお風呂やキッチン、洗面所などから発生する生活排水はそのまま側溝などに流されることが多いですが、地域によっては生活排水を適切に処理する仕組みが整っている場合もあります。下水道法では、下水道が普及した際には汲み取り式トイレは指定された期間内に工事を行い、下水道または合併処理浄化槽への転換が義務づけられています。

集合住宅のトイレ排水方法

集合住宅のトイレの排水方式には、戸建て住宅と同様に下水道、浄化槽、そして少数派ではありますが汲み取り式があります。ここでは、最も一般的な下水道排水について詳しくご説明します。

集合住宅の排水には、主に「分流式」と「合流式」の2つの仕組みがあります。分流式では、トイレの汚水、生活排水、そして雨水をそれぞれ異なる専用の配管に分けて下水道へと流します。この方式の大きなメリットは、雨水が下水処理場に流れ込む量を抑えることができるため、処理効率が向上する点です。これにより、排水処理がよりスムーズに行われ、環境保護にも貢献します。

一方で、合流式では、トイレ排水、生活排水、雨水を一つの配管にまとめて下水道へ流します。この方法は、配管の設置が簡略化されるという利点がありますが、大雨が降ると処理場がオーバーフローを起こす可能性があり、河川への未処理水の放流リスクが高まるという問題もあります。

川越市のトイレ排水状況

埼玉県が公表している浄化槽の種類別の設置基数
埼玉県が公表している浄化槽の種類別の設置基数

単独処理浄化槽の新設は、環境保護と公共衛生の観点から平成13年に原則禁止となりましたが、それ以前に設置されたものは現在も多く使用されています。しかし、これらの浄化槽の多くが老朽化しており、破損や管理不足による漏水が発生するケースが少なくありません。

埼玉県の公表データによると、令和3年時点で川越市内の浄化槽の設置基数は16,956基で、その内訳は単独処理浄化槽が37.2%、合併処理浄化槽が62.8%を占めています。

一般的に浄化槽の耐用年数は30年ほどとされるため、特に単独処理浄化槽の多くは老朽化が進んでいると考えられます。こうした背景から、国は下水道または合併処理浄化槽への転換を呼びかけていますが、撤去や転換には費用がかかるため、なかなか進まないケースも見られます。今後、国の政策が強化され、単独処理浄化槽に漏水などが生じた場合には、迅速な撤去や転換が求められる可能性が高まっています。そのため、今のうちから排水方式の見直しを検討することが、将来的な安心にもつながるでしょう。

まとめ

この記事では、トイレの排水方式である下水道、浄化槽、汲み取り式トイレについてそれぞれの特徴と違いをご紹介いたしました。普段、トイレを流すと水がどこかに流れていくことは当たり前のように感じられて、あまり意識する機会はないかと思います。

また、汲み取り式トイレについてはご存知でも、浄化槽の役割については初めて知った方もいらっしゃるのではないでしょうか。トイレは私たちの日常生活に欠かせない大切なものです。排水方式とトイレの設置方法は密接に関係していますので、この機会に、排水方式について少しでも理解を深めていただければと思います。水廻りのトラブルでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

給水装置工事主任技術者(歴16年)
これまでに"15,000件"の案件を担当。